嫁あり。子あり。持家あり。         1000万の借金有。
入籍日
入籍日

入籍日

※すみません。家庭の事情で更新が止まっていました。

 

 

 

 

僕26歳

彼女35歳

 

 

その日僕は彼女を車に乗せ、

役所へ向かっていた。

 

婚姻届を出すために。

 

結婚記念日は、二人が出会った日と決めていた。

あの頃は、

彼女が僕の奥さんになるなんて…

そんな事思いもしなかった。

 

仕事は有給を取っていた。

嫌なH課長に会わずに済む。

それだけで、僕の気持ちは穏やかだった。

 

 

 

 

 

”受理されました”

 

そう、役所で言われたのは、

婚姻届けを提出し30分も経たっていなかった。

 

10時24分

その日、僕と彼女は正式に夫婦になった。

 

嬉しいという感情より、

 

紙一枚で結婚か…そう思った。

 

 

 

妻「この後どうする?ご飯食べて帰る?」

 

そう、聞かれた僕。

 

僕「いや、会社に行くよ。やらなきゃいけない仕事が

溜まってて。ごめん。」

 

妻「そっか。わかった。」

 

 

車の中の会話はそれだけだった。

 

妻を家の前で降ろした僕。

いってくるねと彼女へ伝え、

車は発進させた。

 

 

 

 

向かった先は、

 

パチンコ屋だった。

 

平然と嘘を付いたが、

不思議と罪悪感はなかった。

 

 

そんな事より、普段行くことのない、

平日のパチンコに

気持ちが高揚していた。

 

 

持ち金なんて、今はほぼない。

なけなしの2000円を、

なんの躊躇もなく、台へ突っ込んだ。

 

 

 

 

数分後、

 

一瞬で溶けた2000円。

 

何故勝てない。

僕には

ギャンブルの才能はないのか…。

 

そんな事を思いつつ、

ないお金は出せない。

 

もう、帰ろう。

 

そう思った時。

 

ほんの一瞬、

入口の奥、

道路を渡った反対側に

赤と白の看板が目に入った。

 

 

 

某金融機関看板だ。

 

 

 

 

 

今日は、入籍日だ。

縁起がいいはずだ。

 

 

 

 

 

そうです。

僕は、大切な人との入籍日に

初めて消費者金融という

地獄の道へ向かったんです。

 

ギャンブル脳の人間は、

縁起がいい!というこじ付けをし

ギャンブルをする自分を正当化しようとします。

まさに当時の僕はそうでした。

 

#嫁あり。子あり。持ち家あり。1000万の借金有。

 

 

 

 

 

 

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