嫁あり。子あり。持家あり。         1000万の借金有。
ヤバい上司⑧
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ヤバい上司⑧

2015年12月

僕26歳

彼女35歳

 

 

一か月ぶりに彼女へ

生活費を渡した僕。

 

彼女「ありがとう。最近、帰り遅いけど、大丈夫?」

 

そう珍しく僕の事を心配してくれた。

 

僕「大丈夫だよ。仕事が忙しいんだ」

 

そう、そっけなく伝える。

 

頭の中では、昨日のパチンコでの大勝の事を

考えていた。

 

仕事とパチンコを両立していけば、
お金に困る事はないな。

 

たった一度の大勝で、

そんな事を考えていた僕。

本当に浅はかだ。

 

 

彼女「今月の〇日に、

役所へ婚約届けを持っていきたいんだけど、

予定は大丈夫かな?」

 

僕「大丈夫だよ。婚約届け、もらってきてくれる?」

彼女「…分かった。」

 

 

 

”結婚”

 

そんな人生最大のイベントすら、

当時の僕は安易に考えていた。

いや、

頭の中は、既にパチンコに洗脳されて

いたのだと思う。

 

 

 

出勤前にコンビニへ行き、

光熱費の支払いをする。

 

今月の給料は

変わらず22万ほど。

 

そこからすぐに、

家賃8万7千円が引かれる。

 

そういえば、

携帯代は親にまとめて払っていてもらっていた。

 

実家にいる時は、

支払いのタイミングで

親に渡していた。

 

実家をでてから2か月ほど、

お金を渡していなかった事に気が付いた。

 

 

昨日借りた3万をかえすついでに、

携帯代も渡そう。

 

そんな事を考えていた。

 

 

 

会社に着く。

H課長の席へ目をやる。

 

H課長は書類に目を通し

眉間にしわを寄せていた。

 

 

 

 

僕「おはようございます。」

 

僕はそう言いながら、

自分の机へ座った。

 

すると、待ってましたとばかりに、

H課長が僕を呼んだ。

 

 

H課長「おい、ハタムラ。こっちこい!」

 

その声に、

昨日までの威勢はどこえやら。

僕は身体が硬直する。

 

恐る恐るH課長の元へ行くと、

先日無理に押し付けられた書類が

僕の頭へ降ってきた。

 

H課長「お前、仕事を舐めてるのか?!

書類のミスは多い、昨日は体調不良で早退だと?!

舐めるのもいい加減にしろ!!」

 

 

そう、罵声を浴びせられた。

 

僕の足元には、

書類が散らばっている。

 

 

他の社員は、

こちらを見ないよう、

ただひたすらに自分のパソコンへ

目をやっている。

 

 

 

僕「…すみません、すぐに確認し直します。」

 

やっとの思いで出した言葉。

 

本当は、

ふざけるな!書類確認はお前の仕事だろ!!

 

と突っかかってやりたかった。

 

しかし、

身体が硬直し、

そんな行動がとれる筈もなかった。

 

 

 

 

B先輩「H課長、お言葉ですがハタムラに対して

あんまりではないでしょうか?

ハタムラ、夜遅くまで作業してましたよ?!」

 

 

僕の前にB先輩が立ち、

そうH課長へ言った。

 

 

 

偽善者

 

 

 

当時は、

B先輩の優しさに対し

素直に受け入れられなかった。

むしろ、

この状況で僕は

H課長よりB先輩に腹が立っていた。

 

H課長「ああ?なんだ、B。お前、俺にそんな事いってどうなると思ってる?!」

 

H課長が立ち上がる。

 

B先輩「いえ、会社の仲間に対してそんな言葉を言う事自体、間違っています。」

 

B先輩は毅然としていた。

 

 

 

 

僕「大丈夫ですから!!

今日、仕事が終わったら、書類を確認しますから!!」

僕は、H課長ではなく

B先輩に向かってそう叫んでいた。

 

 

B先輩は驚いた表情をしていた。

H課長はにやりと笑い、

H課長「そうしろ!書類も拾っとけ!」

 

 

そう僕に言い残し、

給湯室へと歩いて行った。

 

 

僕はB先輩を睨んだ。

 

B先輩「ハタムラ、お前…。」

 

B先輩は何か言いたげであったが、

すぐに自分の机へと戻っていった。

 

静まり帰る社内で、

足元に落ちた書類をかき集める僕。

 

 

 

みじめだ…

 

本当にみじめだった

 

 

 

 

その日も、自分の業務が終わってから

書類の確認作業をした。

 

もちろん、

定時でタイムカードは切っていた。

 

 

サービス残業3時間半。

 

 

 

 

 

悲しい

悔しい

むかつく

そんな気持ちで、

心が押しつぶされるようだった。

 

 

途中B先輩が

話しかけてきてくれたが、

”今度飯でもいこう”

そういって、

コーヒーを僕の机に置き、

帰っていった。

 

 

 

 

余計なお世話だ

 

僕はそのコーヒーを

机の引き出しへしまい、

会社を出た。

 

 

 

 

12月の空気は澄んでいた。

寒い。

そう思いながら

車に乗り込む僕。

 

 

そして、

当たり前のように

いつものパチンコ店へと車を飛ばした。

 

 

#嫁あり。子あり。持ち家あり。1000万の借金有。

 

 

 

 

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