嫁あり。子あり。持家あり。         1000万の借金有。
ヤバい上司⑤
ヤバい上司⑤

ヤバい上司⑤

2015年11月下旬

 

僕26歳

彼女35歳

 

 

その日は朝からH課長の機嫌が悪かった。

 

取引先とのトラブルが発生したとの事。

 

机の上の物を

ガチャガチャと音を立て

俺、不機嫌

アピールをしていた。

 

 

 

 

最悪だな…

 

 

昨日は、彼女の父親と

遅くまで飲んでいたせいか、

僕は寝不足気味だった。

 

 

 

来月、彼女と入籍をしよう

そう家に帰宅してから話していた。

 

 

僕、結婚するのか。

まあ、もう26歳だし、

彼女のお腹の中には、

僕の子どももいるし。

 

そんな事を思いながら、

自分のPCの電源を入れた。

 

 

 

「おい!!!ハタムラ!!!!」

突然、怒号が聞こえ、

僕は声のする方へ目をやった。

 

そこには、

不適な笑みを浮かべる

H課長がいた。

 

 

僕「…は、はい」

 

突然、訳も分からず怒鳴られ、

すでに萎縮してしまっていた僕。

 

 

 

H課長「お前、先週も言ったよな。

    仕事できない癖に、

    いっちょ前に残業代貰いやがって」

 

 

 

 

僕「す、すみません」

 

 

そう言うしかなかった。

 

H課長「お前、今日から残業しても

    残業代はでないと思え」

 

 

 

 

?!

 

 

 

なにを言ってるんだ。

この人…

 

 

僕「え、でも、業務内に終わらなかったら…」

 

 

H課長「だから、それを無能と言っているんだ!

いいか?!わかったか?!」

 

 

 

 

 

 

 

僕「…はい…」

 

 

 

 

社内は静まり帰っていた。

 

残業代がでない…?

つまり、定時で上がれって事か…?

 

僕はそんなに仕事ができないのか…?

 

 

 

ここ最近の、

四方からくるストレスに、

いつしか僕は

自分への自信がなくなっていたんだ。

 

 

 

 

17時30分

 

定時だ。

 

 

もう、疲れた。

帰ろう。

 

そう思い、PCの電源を落とそうとした時、

僕の目の前に大量の書類が置かれた。

 

 

H課長だった。

 

 

H課長「お前、なに帰ろうとしている?」

 

僕「…はい」

 

H課長「俺は、残業代の事を言ってんだよ!

    誰も残業するなとはいってねーよ!!

    この書類、明日までに確認しておけよ。

    誰でもできる仕事だからな、

    少しでもミスしてみろよ。

    どうなるか、わかるだろ」

 

 

そう、捲し立てるようにH課長は言い放った。

 

 

 

 

その書類を見て、

僕はただ、茫然とするしかなかった。

 

 

なんだよ、この書類…。

H課長の仕事だろう。

まだ下っ端の僕が分かるとでもいうのか?

 

 

 

同僚たちは、

僕に話しかけるわけでもなく、

自分の仕事が片付くと

そそくさと退勤していく。

 

 

終わらない…

とんでもない量だった。

 

 

17時30分の定時から、

既に1時間半が経過していた。

 

 

 

「ハタムラ、手伝うよ」

 

 

頭が真っ白の中、作業していた僕に

そんな言葉が聞こえてきた。

 

 

B先輩だった。

 

 

B先輩「大丈夫。こんな量、一人でできっこない」

 

H課長の席を見た。

そこには誰もおらず、

気付かないうちにH課長は退勤していた。

 

 

 

僕「…Bさん、大丈夫ですよ。僕の仕事なんで」

 

気にかけてくれるB先輩。

今考えると、本当にありがたい存在だ。

 

しかし、

当時の僕は、

 

ほっといてくれ

 

そう思うと同時に、

B先輩に対して怒りすら覚えていた。

 

俗にいう、八つ当たりってやつだ。

 

 

B先輩「いや、この量は無理だし、

    今日はサービス残業だろ。

    こんなのおかしいから…」

 

僕「大丈夫ですって。…本当に大丈夫なんで。

  僕、気にしてないので。

  先、帰ってください」

 

 

本当に、プライド馬鹿だ。

 

大丈夫

じゃないのに、

大丈夫と言う僕。

 

 

なにが、

大丈夫なんだよ。

 

 

 

 

結局その日、半ば強引にB先輩を帰らせた。

 

仕事が終わったのは、

21時を過ぎた頃だった。

 

 

 

 

 

 

僕は、事務所の電気を消し

車に乗った。

 

 

 

そこからの記憶がない。

 

ただ、気づいた時、

僕はパチンコを打っていた。

 

 

いつお金を下ろしたのかも

わからない。

 

気付いた時には、

3万が消えてなくなっていた。

 

 

次の給料日まで、

あと2日。

 

僕の有り金は、

ほぼ0になっていた。

 

#嫁あり。子あり。持ち家あり。1000万の借金有。

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