2015年11月中旬
僕26歳
彼女35歳
正直びっくりした。
同棲してすぐの妊娠。
僕は彼女の両親に怒られるものだと
思っていたからだ。
僕「…あ、ありがとうございます」
ある意味、動揺していたのだと思う。
母「よかったわね、ハタムラ君、
娘と子どもをよろしくね」
彼女の母親も、
父親同様、優しく穏やかに
僕を見てそう言ってくれた。
その日、僕は彼女の父親と二人で
居酒屋へ行った。
家での話しがひと段落した後、
彼女の父親から誘われたのだ。
父「…正直、諦めていたんだ」
注文した品が届いてから、
唐突に父親が話出した。
僕「諦めていた、?」
父「孫の事だよ。」
ああ、
そうか。
確かに彼女もよい歳と言えばそうだ。
彼女には兄弟はいない。
彼女の両親は、
孫を抱く事はできない
そう思っていたんだと、
僕は感じた。
僕「あの、僕しっかりするので…」
彼女の父親は、
ふっと優しい顔で僕を見てうなずいた。
父「娘をよろしくな」
そう、彼女の父親は
僕に深々と頭を下げた。
”僕、しっかりするので”
その言葉は、彼女の父親に向けた言葉でもあり、
当時の僕自身に向けた言葉でもあった。
このままではダメなのか…。
その日は、彼女の父親と
居酒屋の営業終了時間まで飲み交わした。
僕、しっかりするので
その間、ずっとその言葉が
頭の中でループしていた。
僕しっかりするよ。
でもさ、
僕だって僕の気持ちがある。
よく分からない彼女
嫌な上司
そして、
結婚という責任
おそらく、
当時の僕はキャパオーバーを
起こしていた。
そして、彼女の父親の気持ちも
伝わっていなかった。
でなければ、
次の日にさっそく
パチンコ屋へ行く
そんな行動がとれる筈がないのだから。
#嫁あり。子あり。持ち家あり。1000万の借金有。