嫁あり。子あり。持家あり。         1000万の借金有。
ヤバい上司③
ヤバい上司③

ヤバい上司③

2015年11月

僕26歳

彼女35歳

 

 

その日、僕は決めていた。

 

仕事終わりにパチンコへ行く。

 

最近は、H課長へのストレスで

同じ空間にいるだけで息が詰まるのを感じる。

 

おそらく、他の社員も皆

そう感じているはずだ。

 

 

皆、H課長を怒らせないように…

かなり気を遣って接している。

ピリピリとした雰囲気が、

職場全体に張り詰めていた。

 

 

 

僕は、なるべくH課長と接点を持つことを避け

仕事をしていた。

 

 

しかし

 

 

H課長は、あの歓迎会の一件から

僕に対して敵意を向けていた。

 

なにか、書類でミスをしようものなら、

皆の前で罵倒された。

 

 

 

 

 

僕「おはようございます」

社内「…おはようございます」

 

いつも以上に小さな声で

挨拶の返しがあった。

その日は特にH課長の機嫌が

悪い日だったのだ。

 

この雰囲気…

本当に嫌だなあ…

 

そう思いながら自席につく。

 

今日は仕事終わりに

パチンコへ行って

ストレス発散しよう。

 

そんな事を思いながら、

パソコンの電源を入れた時、

 

おい!!!!!!!!

 

と大きな怒鳴り声がした。

 

声の方も見ると、

案の定、H課長だった。

 

しかも、僕の方を睨んでいる。

 

 

僕「はい…?」

 

H課長「お前、今日の会議資料が足らないけど、

    やる気あるのか?!数すら数えられないのか!!」

 

 

 

 

 

しまった……

 

 

 

 

昨日、早く帰りたい気持ちが抑えられず、

会議資料の枚数の確認を忘れていた。

 

僕「すみません…。すぐ、印刷かけます」

 

そうH課長へ伝えた時…

 

 

 

 

ビリビリ

 

 

紙の破れる…いや、

破く音が聞こえた。

 

恐る恐る、音のする方へ目をやると

H課長が会議資料を破いていた。

 

 

 

…?!

 

あの時の衝撃は、

今でも忘れられない。

 

 

部署内に沈黙が走った。

 

 

H課長「数も数える事ができない無能が!

    俺に恥じをかかせるな!

    一から印刷し直せすぐに!!」

 

 

 

そういって、朝礼が始まるというのに

H課長は部屋を出て行ってしまった。

 

 

 

 

うそだろ…

 

 

本当に頭が真っ白になった。

 

先輩「ハタムラ、大丈夫か?気にするなよ…」

そういって、先輩が印刷を手伝ってくれ、

なんとか会議までに間に合う事ができた。

 

その時の記憶は、ない。

 

 

ただ、得体の知れない恐怖感を

H課長に抱いていた。

 

 

 

 

会議の場では、

部長クラスもいるという事で

H課長は終始穏やかな表情をしていた。

 

典型的な、

人を見て判断する人間だ。

 

その時は、

恐怖もさることながら、

H課長に対して憎悪を持ち始めていた。

 

 

 

資料を破る行為や、

自分の機嫌が悪いからといって、

部下を怒鳴りつけたり、

何度も社訓を読ませたり…。

 

なにより、

H課長の為に皆が開いた歓迎会の場で

店が気に入らないからといって

怒鳴って途中で帰ったり…。

 

 

それなのに、

自分より上の立場の人間の前では

へこへこしている姿。

 

どれをとっても最低な人間だ。

 

まだ世間をよく知らなかった当時の僕。

世の中には、”本物の悪魔”がいる事を知った。

 

 

 

 

 

とにかくその日は、

H課長からの攻撃に耐えまくった一日だった。

僕は恐らく、歓迎会の一件から

ターゲットにされたのだ。

 

罵倒されているときは、

皆知らぬ存ぜぬな態度だった。

唯一、入社当初からの先輩、

Bさんだけは、

H課長から攻められる僕をかばってくれていた。

 

 

椅子の音がうるさい

(業務内容の会話でさえ)周りと話すな

声が小さい

書類が遅い

 

とにかく、何をするのにも

僕は怒鳴られ続けた。

 

 

今の時代では、

こういった事は少ないように感じる(ないとは言わないが)

当時はまだ、”パワハラ”が当たり前だった時代なのかもしれない…。

 

とにかくその日は、

H課長に何を言われても

ひたすら謝罪し、言われるがまま行動した。

 

早く…

早く仕事よ、終わってくれ…

 

とにかく願っていた。

 

 

 

 

 

その日の終礼後、

僕のストレスは頂点に達していた。

 

H課長が退社したのを見計らい、

僕も急いで職場を後にした。

 

B先輩が、僕を気に掛けてくれ

食事に誘ってくれたのに、

僕はそれを断った。

 

 

 

そして、車を飛ばして

 

パチンコ店へ向かった。

 

 

 

 

 

 

店内に入ると

ジャラジャラという気持ちのよい音。

刺激的な映像や効果音。

H課長から受けた理不尽な罵倒も

この空間に居れば浄化される…

僕は本気でそう思っていた。

 

 

 

 

とにかく打った。

あの時は、本当に頭が真っ白になっていた。

H課長の事を忘れたい。

ただ、それだけだったんだと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とにかく当時の僕は、

パチンコ=ストレス発散

 

そう信じていたから。

 

H課長を思い出しては

万札を台に突っ込んだ。

 

あんな奴なんかより、

僕の方がすごい。

あんな奴なんかより、

僕は稼いでいる。

あんな奴なんかより、

あんな奴なんかより…!!!!

 

 

狂ったようにそう念じていた。

 

 

 

そしてその日、

気付いた時には

6万円がなくなっていた。

 

#嫁あり。子あり。持ち家あり。1000万の借金有。

 

 

 

 

 

 

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