嫁あり。子あり。持家あり。         1000万の借金有。
ヤバい上司①
ヤバい上司①

ヤバい上司①

2015年10月下旬

 

僕26歳

彼女35歳

 

 

 

その週の金曜日、

H課長の歓迎会が予定通り行われた。

 

僕は、H課長に言われた衝撃的なセリフを

誰にも言わずに黙っていた。

 

 

まあ、いっても仕方ないし。

 

当時はそう思っていたのだが、

実際には、プライドが高い僕が

こんな事を言われた。と、

周りに言うの事が嫌だったんだと思う。

 

 

 

 

 

居酒屋に着き、

H課長は上座へ座った。

 

僕は幹事ということもあり、

入口の席に腰を掛ける。

 

飲み放題付きのコース料理で

3千円

 

安くて、いい居酒屋だ。

 

 

 

「H課長、〇〇部署へようこそ!」

 

先輩の挨拶で、

H課長の歓迎会が始まった。

 

 

僕はひたすらドリンクの注文や、

料理を取り分ける事に専念した。

 

すでに僕の中のH課長は嫌な奴だったからだ。

 

 

同僚や先輩は、

媚を売るかのようにH課長へ

話しかけている。

 

幹事でよかった

 

僕はそう思っていた。

 

 

 

しかし、H課長はというと

なぜか不機嫌でぶっきら棒な顔をしていた。

 

 

なんだよ、あの人。

せっかくの会なんだら

もっと楽しそうにしろよ…

 

 

そう思ってH課長の方へ視線をやると、

バチっと目があってしまった。

 

 

 

H課長「おい、ハタムラ」

 

そう、僕を呼んできた。

 

 

…なんだよ。

僕「…はい。」

 

 

H課長「お前、店のセンスねーな!

    料理も上手くないし、酒も微妙だ!」

 

 

場の雰囲気がスンっと冷たくなった。

 

 

 

…は?

今なんて…?

 

 

 

 

 

先輩「か、、課長!いい店じゃないっすか!」

すかさず先輩が助け船をだす。

 

H課長「いや、俺はこういう”安い店”が嫌いなんだよ」

 

そう大声で怒鳴りながらH課長は席を立ち、

僕の方に向かってきた。

 

 

おいおいおいおいっ

 

 

 

 

 

 

僕はH課長の圧に負け、

その場に硬直してしまった。

 

 

 

H課長が僕の前に立ち、

殴られるっ!!と思った時、

 

「課長!なにしてるんすか!!

 問題起こしたら、面倒ですよ!!」

 

先輩が課長の肩を掴み、僕から引き離した。

 

 

 

 

 

 

H課長「くそ、気分悪い。

 

そういって、H課長はカバンを持ち

店から出て行ってしまった。

 

 

 

 

うそだろ……

 

 

 

 

 

 

その場にいた全員が、

ドン引きをしてしまい、

H課長を追いかける者はいなかった。

 

 

50過ぎの大人が、

店が気に入らないからって

あんな態度になるか?

店の人にも迷惑だろ……

 

 

僕はきっと真っ青になっていたと思う。

先輩や同僚が、

元気だせ!気にするな!

と次々に声を掛けてくれ、

なんとか平常心を保つことができた。

 

 

 

 

 

 

 

H課長が去った後、

どうにか先輩たちが

場を盛り上げてくれなんとかった。

 

 

 

皆、

あの人は本当にやばい…

 

 

そう感じていた事は確かだが、

誰もその事について触れなかった。

 

ちなみにこのH課長のエピソードは

今でも僕ら部署の中で語り継がれる事になる。

 

もちろん、

”本当にやばい人”という内容で。

 

 

 

 

 

そして、会計時まさかの事が発覚した。

H課長、お金を置いて行ってない……

 

なんとなく、僕のせいで

こんな事になってしまったと

負い目を感じていた僕。

 

 

自分の財布から、そっと3千円を出し

H課長の分も支払った。

 

 

 

 

 

 

 

 

その時は、

仕事の事が不安で、

お金の事を考える余裕はなかった。

 

 

あんな人の下で、

これから僕は働くのか…?

 

 

 

 

 

 

 

 

財布の中は100円玉が数枚。

口座の中には

2000円しか入っていなかった。

 

 

給料日まであと3日。

 

 

 

 

 

#嫁あり。子あり。持ち家あり。1000万の借金有。

 

 

 

 

 

 

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