2015年10月下旬
僕26歳
彼女35歳
僕に子どもか…
彼女からの告白後、
毎日そんな事を考えていた。
彼女は少し体調が悪いのか、
朝も夜も寝ている事が多かった。
以前までの彼女に対しての苛立ちは、
妊娠発覚を期に和らいでいた僕。
僕の子どもをおなかの中で
育ててくれている。
そんな彼女に感謝の気持ちを持っていた。
その日、会社で人事の入れ替えがあった。
こんな時期に?
とは違和感を感じたが、
会社の方針なので仕方ない。
朝の朝礼の際、
新しい課長が
僕の部署に配属になると聞かされた。
前に立った新しい課長。
「Hと申します。
みなさん、どうぞよろしくお願いします。」
そう課長とは思えないほど、
さらっと挨拶をするH課長。
皆建て前の拍手をし、
H課長を迎え入れた。
その日の午後、
僕は先輩から嫌な噂を耳にした。
先輩「ハタムラ、知ってるか?H課長の事」
僕「なんですか?知らないっす。」
先輩「H課長って、パワハラ問題を起こして、
俺らの部署に異動になったらしいぞ」
僕「パワハラですか?まあ、少し気難しそうな
雰囲気ありますよね…。」
先輩「お前、お気楽なタイプだから
気をつけろよ?
まあ、部署移動って事で少しは反省してると
思うけどな!」
H課長、パワハラか…
どうりで、変な時期だと思ったよ。
その時は、
そこまで気にしていなかった僕。
所詮、会社での付き合いだ。
まあ、
僕は大丈夫でしょ。
H課長のパワハラ噂は瞬く間に
部署全体に広がった。
誰が流した、というわけでもなく
自然に、静かに、じわじわと、
浸透していった。
H課長は、気難しい雰囲気はあったが、
よくある部下を恫喝するような
タイプには見えなかった。
その週の金曜日。
部署内で、H課長の歓迎会が
行われる事になった。
急遽だったので参加は自由。
だが、まだまだ若い僕に
断る権利はなかった。
というか、
幹事まで任されてしまった。
どこでもよかったので、
適当な店に予約を入れる。
閑散期だったため、
問題なく予約を取ることができた。
会費は一人3千円。
僕の口座の中は、
すでに2万円を切っていた。
かなりの痛手だが仕方ない。
参加メンバーへ店の詳細と会費を伝えた。
僕「H課長、金曜日の件ですが
〇〇居酒屋に19時でよろしくお願いします」
僕はH課長へ伝えた。
その時だ。
H課長の眉間にしわが寄ったのを
僕は見逃さなかった。
…なにか、失礼な事を言ったか?
H課長「僕は居酒屋とかうるさい場所はダメなんだよ。
まあ、次からは気を付けろよ」
はああああ????
なんなんだ、この人。
部署のみんながせっかく
H課長の為に歓迎会を開くって
時間作ってんだぞ。
そんな言い方あるか???
心の中でそう叫んだ僕。
H課長には平謝りし、その場を後にした。
H課長、ヤバい人。
早速僕の脳みそに
そうインプットされた。
#嫁あり。子あり。持ち家あり。1000万の借金有。