2015年10月上旬。
僕26歳
彼女35歳
彼女と気まずい雰囲気の日々が続いた。
話すことといえば、
おはよう(起きていたら)
ただいま(起きていたら)
そんな挨拶のみだったと思う。
それでも僕たちは、
『話し合う』
という行動をしていなかった。
ある日曜日。
彼女「ねえ、買い物行かない?」
そう僕に言ってきた。
僕「どこに行きたいの?」
そう聞き返すと、
新しい服がほしい
との事だった。
服を買うお金があるのか?
なら、少しくらい生活費を出してほしい。
当時の僕は、うまくいかない同棲生活、
口座からお金が湯水のように出ていく事で
相当のストレスが溜まっていた。
「買い物はいいけど、お金あるの?」
そう嫌味のように聞いてしまった。
彼女は少し寂しそうな顔をして、
「やっぱりいい…」
そう言い残し、家から出て行ってしまった。
なんだよ…
本当になんなんだよ。
やっぱり、僕に服を買ってもらおうと
していたのか?
ふざけるな。
僕は完全にマイナス思考に陥っていた。
彼女が出ていった日曜日。
時間を見るとまだ昼の13時だった。
もう一度寝ようとおもった僕だったが、
イライラが収まらずに寝られない。
気付いた時には、
車に乗っていた。
そして、最寄りのパチンコ店の
駐車場に車を停めた。
その時、なぜ無意識にパチンコ店へ行ったのか、
その時、どんな事を思っていたのか、
10年経った今の僕が思い出そうとしても
思い出せない。
とにかく、腹が立っていて
とにかくストレスを発散したかったんだろう。
店内に入り、
入口近くの席へ座る。
財布の中には先日コンビニでおろした
3万がはいっていた。
前回は5000円しかなかったが、
今は3万手元にある。
気持ちが高揚した。
手始めに1万円を台に入れる。
気持ちよく玉が僕の前に踊り始めた。
耳が痛くなるほどの効果音。
ジャラジャラという玉の音。
彼女に対してのイライラが、
スッと消えていくのを感じた。
僕は台をまっすぐ見つめ、
ただ無心で打っていた。
その時、突然効果音が変わった。
なんだこれ…?
そう思ったとき、
画面に大きくフィーバーの文字が出た。
胸が高まる。
僕はまだ1万”しか”入れていない。
気付いた時には、
僕の椅子の横には
玉が積みあがっていた。
嬉しかった。
心が満たさせる感覚になった。
自分が誇らしくなった。
結局その日は、
5時間ほど打っていた。
換金をし、
僕の財布の中は
9万円に変わっていた。
イライラもすっかり消え、
帰路につく。
楽しい
パチンコって楽しい
そして、
お金も稼げる。
とにかく誰かに話したかった僕は、
車の中で、あの同僚に電話をした。
同僚も一緒になって喜んでくれ、
また2人で行こうとなった。
その時、
パチンコへ行くきっかけを作ってくれた
同僚に感謝の気持ちすら覚えた。
それくらい、
僕は楽しかったんだ。
財布の中9万円。
口座の中8万円。
次の給料日まで、
約20日。
#嫁あり。子あり。持ち家あり。1000万の借金有。