2015年10月上旬
僕26歳
彼女35歳
9月末、給料が振り込まれた。
手取り23万円。
そして、次の日には家賃の
8万7千円が引落されていた。
僕は届いていた光熱費の振込用紙を持ち、
会社へ向かった。
金額は約6000円。
その時、
彼女はまだ寝ていた。
口座の中には
14万3千円。
財布の中は300円だった。
会社近くのコンビニに寄り、
ATMで3万引き落とす。
もちろん手数料など考えていない。
その後、
光熱費と朝ご飯用の
おにぎりなども一緒に会計をし、
合計6400円を支払った。
口座の中には
11万3千円。
財布の中には
約2万4千円。
久しぶりの万札に、
僕は少し安心した。
元々、あるお金は全て使い切ってしまう僕。
そう、計画性が全くないのだ。
昼休憩になり、会社の社員食堂で
500円を出し、カレーライスとうどんを注文する。
いつものルーティーンだ。
仕事が終わり、帰り支度をしていた時
あの同僚に声を掛けられた。
「お疲れ!給料入ったし、
今週どっかで打ちにいかね?」
その時、僕の中でまたあの感情が目を覚ました。
”パチンコを打ちたい”
”お金を増やしたい”
「いこう」
躊躇する事なく、
二つ返事で約束をした僕。
歯車は物凄いスピードで
狂い始めていた。
20時ごろ、家に帰ると
彼女が起きていた。
「おかえり」
そういった彼女は、
昨日と同じ服を着ていた。
というか、
寝巻のままだった。
「…ただいま」
同棲をしていなかった時は、
なんでもない話もしていた。
今日は何を食べたとか、
会社の上司がどうだとか…
あれ?
僕は今まで
彼女と何を話していたんだろう。
なんとなく気まずい雰囲気の中、
「ねえ、生活費もらってもいいかな」
そう彼女が僕に言ってきた。
あ…
そうか。
だから起きていたんだ。
僕を待っていたわけでなく、
お金の無心か。
悲しいし、
寂しい。
だが、やはりプライドが高い僕。
「わかった」
そう言って財布から1万円を彼女に手渡した。
「ありがとう。なんか、元気ない?」
そう彼女に問いかけられたが、
話す気持ちになれなかった。
「なんでもないよ、大丈夫」
そういって、彼女の横を通り
リビングへ向かった。
机には、また焼きそばが置いてある。
これが僕の晩御飯だ。
味気ない。
その日は、
悲しく、虚しい、でもそれ以上に、
イライラが勝っていた。
僕は日中仕事して、
家賃、生活費をすべて出している。
それなのに彼女は、
働きもせず、
晩御飯だっていつも味気ないものばかり。
まだ同棲して一か月だぞ。
楽しい同棲生活を想像していた当時の僕には、
かなりのストレスだった。
腹が立つ。
むかつく。
僕ばっかり。
あー
ストレス発散したい。
なにか、楽しいことがしたい。
そうだ。
パチンコに行こう。
その思考になるまでは、
本当に一瞬だった。
#嫁あり。子あり。持ち家あり。1000万の借金有。