2015年7月下旬。
僕25歳
彼女35歳
「無事に審査通りましたよ」
不動産の担当者からそう連絡があったのは、
契約書を記入してから
3日経っての事だった。
「ご入居は、8月中旬ごろでよろしいでしょうか」
そこからは、本当にバタバタだった。
まず家電。
・冷蔵庫
・洗濯機
・電子レンジ
・テレビ
…
なにが必要なんだ?!
とりあえず彼女と
最寄りの家電量販店へ駆け込んだ。
二人暮らしだし、
冷蔵庫はそこまで大きくなくてよくて、
洗濯機もまあ、洗えればいいだろう。
電子レンジって必要なのか?
テレビは…とりあえず
僕が今使っているテレビでいいか!
そんな事を考えながら、
店内をうろうろしていると
スタッフの男性が声を掛けてきた。
「何かお探しですか?」
丁度良かった…!
そう思い、彼女と同棲するにあたり
家電が必要な旨を伝えた。
すると、
今後も長く使う事を考えて、
良い物を購入してはどうか、
という提案をされた。
貯金は約50万円…
彼女はきっと0円…
「あー、どんなものがお勧めですか」
そう聞いたら最後だった。
提案されるのは、最新家電ばかり。
くそ、横に半額くらいの冷蔵庫があるのに…!
僕はそれでいい
僕はそれでいい
それでいい…
・冷蔵庫 17万
・洗濯機 20万
・電子レンジ 6万
総額43万+税
そしてここでも僕の悪い癖が出る。
そう、見栄っ張りでプライドが高いところだ。
”値引きできますか?”
その一言が言えなかったんだ。
いや、
”高いのでこの半額の冷蔵庫にしてください”
そう言うべきだった。
結局僕は、店員に言われたままの金額で
家電を購入することになる。
貯金50万円はいっきに4万程になった。
エアコン付き物件でよかった…
店員に現金を差し出す際、
心からそう思った。
そういえば彼女は、
特になにも言わずに僕の隣に立っていたかな…
#嫁あり。子あり。持ち家あり。1000万の借金有。